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文化振興活動

画家・絵本作家 井上洋介さん

画家・絵本作家 井上洋介さんインタビュー

財団:今回は画家、そして絵本作家として知られる井上洋介さんをご紹介いたします。
≪井上洋介さん プロフィール≫
1931年東京生まれ。1954年武蔵野美術学校西洋画科卒業後、漫画、イラストレーション、本の挿絵などで幅広く活躍。 1965年に文藝春秋漫画賞を受賞。絵本の分野へも本格的に進出し、『くまの子ウーフ』シリーズなどで絵を担当した後、自作絵本を次々と発表。ダイナミックな驚きと不思議な笑いに溢れた絵本は「ナンセンス絵本」と呼ばれ、小学館絵画賞、日本絵本大賞など数々の賞を受賞し、人気を集めている。油絵、版画、水墨画などの創作も続け、都内などで個展を多数開催。2002年には市川市民文化賞奨励賞受賞。60年以上、千葉県市川市に居を構え、創作を続けている。

財団:井上さんが絵を描き始めたきっかけを教えていただけますか?


「タマゴ」(2009)

井上:子どもの頃から絵が好きだったんですね。絵を描いていた兄がいたので、美術雑誌とか画集が家にたくさんあったんです。よくそれを眺めていたのですが、他にも大人の娯楽雑誌とか、主婦の友みたいな雑誌もあったので、その中の綺麗な挿絵なんかも眺めたりしてたんです。漫画も好きで、田川水泡の漫画なんかを見て大笑いしてましたよ。
画集でルオーの絵を見て、これなら俺にもかけるかな?なんて思ったりして。それで、自然と絵を遊びみたいに描くようになりました。そういう風に絵を描き始めて、それが延々と今まで続いているという感じです。絵以外のことをやろうと思わなかったんですよ。

財団:10代で漫画のキャリアをスタートしたと伺っていますが?

井上:子どもの頃から漫画が好きで、自分でもよく描いていました。
その内、漫画を描きためると、出版社まで持っていったりして。18か19、20歳前後の頃だったと思うけど、その内、雑誌にぽつりぽつり載りだして。原稿料をもらったりすると、とても嬉しかったのを覚えています。当時の漫画家の先輩や仲間たちは、それはとても面白い人たちがいたんですよ。

財団:その後、絵本の分野でお仕事をされるようになったんですか。


「まがればまがりみち」(1990)

井上:美術学校を卒業した後も、漫画を描いたり、そして本の挿絵なんかを描いたりしていました。その後、絵本の挿絵を描くようになりまして、それで自分でも話を作りたいと自然に思うようになりました。
絵本の仕事でも、発想の元は漫画だと思っています。漫画っていうのは、アイデア勝負。自分はナンセンス漫画を描いていましたし、「ビックリえほん」(井上氏の自作絵本第1作)も、ナンセンス漫画の発想から描きました。

財団:井上さんの絵本は「ナンセンス絵本」と呼ばれ親しまれていますが、絵本を描く上でテーマにされていることはありますか?

井上:一貫してあるのは「ナンセンス」を軸にしたいと思っています。笑いにもいろんな種類があると思いますけど、哄笑してもらえるような笑いを作りたいなといつも思っています。
子どもは、いいですよね。ともかく、余分な教養が無いから、目が汚れていないし、感覚もするどくて。子どもが、じっと絵本を見てくれて、そして笑ってくれる、そんなものを描きたいと思っています。

財団:絵本のお仕事と併せて、油彩を中心としたタブロー(絵画)の制作もずっと続けてらっしゃいますが、独特な世界観を持つタブローの発想の源は一体どういうものなのでしょうか?


「モグモグでんしゃ」(2006)

井上:美術学校の卒業制作辺りから、なんとなく現代の不条理をモチーフにしたいという気持ちがありました。
その後、徐々に、自分が少年期に体験した爆弾の恐怖や飢えといった記憶が思い起こされて、今ではそんな記憶がタブローの発想の源となっているような気がします。
戦争の災難とか、自然の災難も含めて、人間が受ける苦痛というのは、時代によって変わるものでは無いような気がします。人間が被る災難を描きながらも、そんな災難の対極にある「ナンセンス」をいつもタブローに含ませたいと思っています。
まずタブローを見て、そのナンセンスさを笑って欲しいと思います。そしてその後、人間が被ってきた災難をふと思い出してくれたらな・・・と思っています。

財団:ところで市川にはいつ頃から住んでらっしゃるんですか?

井上:戦後、10代の頃に市川に越して、もう60年以上市川に住んでいます。
小学生の頃は小岩に住んでいましたが、京成電車に乗ってしょっちゅう市川には来ていました。本屋で本を買ったり、銭湯に行ったり。市川の駅を降りると空気が良くて。当時から市川の町の雰囲気がとても好きでした。

財団:市川のどんなところがお好きなんでしょうか?

井上:木がたくさんあるところです。昔、自転車であちこち市川中を回りましたが、田舎に来たようなのんびりしたような場所がふとあったりして、そういう場所もとても好きでした。

財団:今回、芳澤ガーデンギャラリーでは、井上洋介さんの絵本とタブロー(絵画)を紹介する展覧会を開催しておりますが、何か一言お願いします。


「室内図」(1995)

井上:家から近くて、こんな広く、緑も豊かで、天井も高くて・・・そんな場所で自分の大作を並べて、人の作品を眺めるようにゆっくり観ることが出来たのは初めてで、実によかったと思います。
広々とした庭をじっくり眺めて、心が穏やかになれるようなギャラリーは他には無いので、とてもいい場所で展覧会ができたと思います。

財団:本日はお忙しいところありがとうございました。

〈お知らせ〉
井上洋介 ヱホンとタブロー
2009年5月2日(土)~6月21日(日)
市川市芳澤ガーデンギャラリーで開催